ただ料理が美味しいだけでは厳しい飲食業界で生き残れません。
例えば料理上手な料理人がお店を出します。それだけで繁盛するかというとそうでもない。
ネット社会となった近年では簡単にホームページが作れたり、SNSを利用した集客など、そこにはありとあらゆる戦略が飛び交っています。
「おれは料理の腕前で勝負!」では生き残るのはよっぽどの幸運者でないと不可能でしょう。
そこでこの記事では「飲食店での集客」と「飲食店での顧客獲得」この二つの方法を見ていきます。
目次
飲食店での集客方法
まず自分のお店にお客さんが来ないことには話になりません。どどん!っと目立つ看板を店頭に置くだけでは少し振り向いて素通りです。
たまたま目に止まり運よく入ってもらっても、それは集客したとは言えないでしょう。偶然の集客はカウントしません。
肝心なのは"狙って集客できているかどうか"ではないでしょうか。
ということで飲食店の集客方法についてポイントを抑えていきましょう♪
※以下の調査数値は独自の市場調査に基づき、且つ当サイトが良質だと判断した順に構成され推奨しています。(正確な調査結果ではないのでご参考程度に)
消費者は何を見てお店に来るのか?
「ネット」です。
消費者の約80%がネットでの情報を見て足を運びます。残りの約20%は、たまたま立ち寄ったり、人に聞いたり、そもそもネットを利用しない人達で、ほぼネットからと言っていいでしょう。これからスマホユーザーがさらに加速していくことを予想すると、ほとんどの人がネット検索で足を運ぶことになるかと。
ではどんな検索をして、どんな情報を見るのかというと
- アンブランデッド検索といって飲食店名ではなく「料理のジャンル」や「料理名」で検索する人が約70%。
- お店のメニュー画像、外観、内観、雰囲気、価格帯などの情報がしっかり書かれたお店を選択する人が約75%。
というように自分がいま必要としてるものを最優先で検索し、それらの情報がたくさん詰まったお店を選ぶ傾向があります。
お店の情報は至る所に張り巡らせる
消費者はだいたい3~4つの候補の中からお店を選びます。そういった行動をする消費者はだいたい70%ぐらい。
フェイスブック、ホットペッパーなどネット上至る所にお店の情報を張り巡らせば、それだけ消費者が検索からやってくる確率が上がり、候補の一つして入れてもらいやすくなります。
このとき大事なのはデジタル・ナレッジを必ず最新のものにすること。
デジタル・ナレッジのナレッジとは企業情報(経験や知識)を表す言葉で、飲食店の場合なら店名や住所、電話番号、営業時間からメニュー表や外観、内観、その他もろもろの情報のことです。
情報は最新で、且つお店すべての情報を消費者に伝えることで検索エンジンに評価されやすくなり、上位表示されれば、さらに消費者に選んでもらえる確率が上がります。
お店の情報は統一する
デジタル・ナレッジ管理を「徹底的に統一」することで消費者に信頼性が伝わり、結果選んでもらう確率が高くなります。
もしデジタル・ナレッジがネット上で統一されていなければどうなるのか?というと
フェイスブックには21時までの営業時間と書いてあるのにホットペッパーには23時と書かれている。どっちが正しいの?ってなりますよね。
考えられる原因は営業スタイルに変更があり、古い情報がそのままになっているパターンでしょうけど、消費者はそんなの知りません。23時まで開いてると思い、行ってみたら閉まってた。もうあの店にはいかない。っとなる可能性も十分にありえます。
例え行かなくても「ちゃんと管理してないお店だな」「どちらが正しいかわからないなら行かない」と一発で信頼性が吹き飛ぶこともあるので要注意。
また情報が統一されていないことで検索結果に表示されず他店の情報が表示される可能性も高まります。そう難しいことではないのでデジタル・ナレッジ管理は徹底的に統一しておきましょう。
影響力のある人と協力する
これはインフルエンサー・マーケティングというもので、インフルエンサーとは「世間に強い影響力がある人物」という意味です。
例えばフォロワーが数十万人いるような人や芸能人、地元で影響力のある人をお店へ招待し、宣伝してもらうことで消費者の約90%が信頼してくれます。
SNS等で友達が「ここのお店はこんなところがよくてーこんな料理を提供してくれました。とてもよかったです」と写真付きで投稿していたら行ってみたいと思ったことありませんか?
インフルエンサー・マーケティングは従来の広告マーケティングより格段に信頼性してもらいやすく、影響力がある人ほど効果を得ることができます。
他の広告に予算を使うならシンプルに「飲食料はいらないのでお店の宣伝をしてください」とお店に招待し、実際の料理や雰囲気などを宣伝してもらう方が集客にも知名度アップにも繋がりやすいでしょう。
駆け出し中のお店なら他の広告予算をすべてインフルエンサー・マーケティングにまわしてもいいレベル。
またそういったインフルエンサーは思いのほか喜んで協力してくれる人が多い。
評価・レビューの悪い評価を減らす
ほとんどのポータルサイトでは、そのお店の良い評価、悪い評価を消費者が決める「評価・レビュー」という裁判所みたいな機能があります。
消費者はほぼ100%「評価・レビュー」に目を通しそのお店の評価で最終判断をします。
面白いことに消費者は良い評価よりも悪い評価に目を向け"どれだけ妥協できるか"で決める傾向があります。なぜなら評価を見るという行動まで行きついた消費者にはそれぞれ思う良い評価が既に決まっているからです。
お店のデジタル・ナレッジに目を通し、合格ラインに到達した人が最終的に見る場所ですから良い評価は、サラ~っと流し読みされる程度でしょう。
反対に悪い評価は厳しい審査のようにじっくり読まれます。
また良い評価ばかりだと逆に怪しい~と思う消費者も多く、このバランスは実に難しい。
っで、これをどう集客に繋げるかは「悪い評価を減らすこと]
消費者がお店に行くかどうか決める最終関門で悪い評価だらけでは99%除外されてしまいます。ここまできてチャンスを逃してしまうのは非常にもったいないと思いませんか?
「良い評価だったから行く」はありますが「悪い評価だったから行く」なんてことはまずありません。それが新規なら尚更です。
もし改善の余地があるなら目を向けてみましょう!
ちなみに悪い評価を減らす方法は下記の顧客取得方法で説明します。
飲食店での顧客獲得方法
顧客とはおとくい客という意味で、一度訪れたお客さんにもう一度来てもらうリピート率がお店を繁盛させる重要な鍵を握っています。
マーケティングの世界で「2:8の法則」というのはご存じでしょうか?2割の顧客から8割の売上があるという法則です。
ビジネスにおいて「顧客の獲得」は必須で、当然飲食店においても言えることです。
ということでここでは顧客の獲得方法とリピート率をあげる方法を見ていきましょう。
差別化戦略で顧客を獲得する
差別化というのは"他と違うもの"を用意することです。
例えば以下のA、B、Cの店は料理の味も価格帯も外観内観も同じで三軒横並びの立地とします。
さて、どこのお店に入りますか?というと、答えは「どこでもいい」ですよね。
しかし、これならどうでしょう?
Aの店に行ってみたいと思いませんか?なぜなら、高級肉だから。単純ですね。
もっと深く付加価値を出すなら「なぜ高級肉を使っているのか?」などお店の世界観をストーリー立てて明確に伝えるとより効果的です。フランス料理やイタリア料理ならその地域の成り立ちや素材の歴史など。
他にも看板メニューを出したり、誕生日に使えるお店という空間を作ってみたり、"他と違う"ところをアピールして消費者に目を向けてもらう。これを「差別化戦略」といいます。
逆差別化戦略で顧客を獲得する
ここで注意しておきたいのが差別化戦略の落とし穴。
差別化戦略は、あまりにも知れ渡っているためどの飲食店も差別化してきます。するとこうなる。
ハンバーグの店Aが溶け込んでぼんやりしていませんか?
確かにそれぞれ他とは違う個性があるので差別化されてますが、ドーン!といったインパクトがない。というか目立ってない。
ので、一度原点に戻してしまおう!という「逆差別化戦略(勝手につけた名前)」もあります。
差別化!差別化!他と違うぞ!と他店がアピールすればするほど違いが目立つようになるのがこの戦略のキーポイント。
「シンプルなハンバーグでいい」という消費者もいるので、そういった層を顧客に取り入れることができます。
実はこういった戦略で結果を出してるのは他の業界も同じです。他社が付加価値をつけまくり差別化だ!とやっけになる最中、さらに逆転した発想で面白いサービスや商品を生み出す企業もあります。
例をあげると
- 「らくらくホン」通話やメールのみで使いやすい携帯。思いっきり原点に戻っています。
- 「カット専門店」美容室業界ではマッサージやトリートメントなんぞいらぬ!というカットだけしたい顧客を捕まえています。
- 「ダイソンの掃除機」いろんな機能が加わり過ぎて何のボタンかわからない付加価値付きまくりの掃除機より、掃除機はよく吸うものだ!っと原点に戻りシンプルに吸引力を売ったダイソン掃除機は大ヒットしています。
というように世間の流れとは「逆方向へ行く」という戦略は注目されやすく新しい差別化が生まれることも覚えておいてほしい。
安さを売りにしてはいけない
「安さ」を売りにすると"安さに反応"してるだけで本当の顧客ではありません。
本当の顧客とは「またそのお店に行きたい」と思ってくれている顧客です。
また安さを売りにすると以下のようなデメリットがあります。
- 安い分「利益」が減ってしまう点。
- 短期的な売り上げはあっても、長期的にみると厳しくなってくる点。
ここで大事なのは「値段が高くても来てもらえる店づくり」をすることです。
「安さ」で選ぶ顧客より「価値」で選ぶ顧客を集中して獲得していきましょうということ。
っで、そういった顧客を獲得するには「満足してもらう」これしかありません。
顧客満足度は評価・レビューをチェックする
上記でも書いた「評価・レビューの悪い評価を減らす」から繋がる話です。
ポータルサイトの評価・レビューは実に優秀な機能で、お店側にとってのありがたい点は「悪い評価」がつけられたり、書かれたりするところ。
一見「良い評価」がたくさんあったほうがいいに決まってる!と思いますが実はその逆。なぜなら消費者がお店の改善点を無料で教えてくれるからです。こんなありがたいことはありません。
悪い評価ばかりでは改善点だらけですが、お店にとって有益な情報を与えてくれるいわば情報の「宝島」です。
しかし、良い評価ばかりだと何を改善したら"もっと良くなるのか"がわからないから非常に難しい。
とは言ってもせっかく良い評価をしてくれてるわけですから、モチベーションの向上になるでしょうし、良い評価してもらったものを維持していけるよう努めていくことが大事です。
というわけで、自分のお店の悪い評価は毎日チェックし改善に努めること。改善点を削っていき最終的には"良い評価だけ"を目標にしていけば顧客の満足度は上がり、それはリピート率向上にも繋がります。
常に新しいことをしてリピート率を上げる
新規顧客の獲得も大事ですが、リピート率も大事。
リピート率を上げるには単純です「また行きたい」と思ってもらうしかありません。
先ほどは悪い評価を改善することで満足度を上げましょう!でしたが、次はもっとポジティブな目線でアプローチしていきます。
飲食店ではありませんが大阪の「USJ」はご存知ですよね。USJは2001年に開園し1年で1100万人という驚異的な入場者数で世間を騒がせました。しかし消防法違反や賞味期限切れの食品トラブル、さらには借金返済のため新アトラクションに力を注げず、2009年には750万人に減少しました。
しかし2011年に救世主「森岡毅氏」がたった3年間でUSJの窮地を救い入場者数を1000万人以上まで回復させたのです。
そんな森岡氏がおこなったマーケティングをざっくり言うと
- 日本全国から呼び込める切り札がない!ということで「ハリーポッターエリア」を提案。
- しかし、資金がないので「お金をかけずに」収益を増やす策を考え資金作り開始。
- それが、「ハロウィンホラーナイト」パーク全体にゾンビを出現させ日本の女性が思いっきり叫べる場所を作った。
- そして、「ハリウッドドリームザライド~バッグドロップ」ジェットコースターを後ろ向きで走らせるだけでコストをかけず人気を確保。簡単過ぎる発想が吉と出る。
- さらに、「スパイダーマン」を4K3Dにして、新アトラクションとして売り出す。
- まだまだ森岡氏の進撃は止まらない。「ワンピース」「進撃の巨人」「モンスターハンター」など日本のエンターテインメントとコラボし、熱狂的ファンを呼び込むことに成功。
- 最後に、「ユニバーサルワンダーランド」子供向けのアトラクションを一ヶ所に集め子供が遊べる場所を作ることでファミリー層を増加させた。
- 2013年の時点で入場者数は1000万人以上を超え完全復活。2014年に念願の「ハリーポッターエリア」が開業された。ちなみにハリーポッター開業までの新事業の成功率は97%という驚異的な数字だった。
ハリーポッターエリアを開業するための資金作りと言えども、すべて「新いこと」をしていますよね。しかもほとんどが"狙った層"を確実に捕まえています。
なぜ狙った層を確実に捕まえられるのか?と言うと、「消費者の気持ちを理解」しているから。
ワーキャー言いたいから来た、後向きのジェットコースターも乗ってみたいから来た、4K3Dを味わってみたかったから来た、アニメが好きだから来た、子供も楽しめそうだから来た、というようにただ新しいことをすればいいわけじゃなく消費者が納得できる"目的"を作ってあげることが大事。それでいて満足してもらうだけの価値を用意すること。
これを、飲食店に置き換えると、例えば「女性層へ季節限定のデザートを提供」したり「デート仕様の席を用意」したりと目的を明確化させ新しいことを用意するだけで、本来一度きりで離れてしまったであろう顧客にもう一度来てもらうキッカケになるかもしれません。USJが離れてしまった顧客を戻したように。
顧客を維持させる
顧客はたった2割なのに8割の売り上げを作ってくれる大事なお客さんです。
ということはですよ?顧客を失えば「即終了」と思っていたほうがいいでしょう。
顧客からの「信頼度や満足度」は絶対に維持させないといけません。
っで、顧客が求めるもは何か?というと「自分にだけという特別感」です。
何度も利用してるのに新規のお客さんと同じでは満足度はどんどん低下していき最後にはポン!っと消えます。または他の競合に奪われてしまいます。
ではどのように特別感を与えるのか?例をあげてみます。
- 冷え性のお客さんにはひざかけの有無を聴いてあげる。
- バーテンダーなら以前話した内容を覚えている。
- いつもありがとうございます。という言葉だけでもいい。
覚えてもらってる!というのはとても特別感を感じるものです。
お客さんが一度要望したことをメモしておき、再度来店された時に不満がないよう一人一人のお客さんに最適なサービスを徹底することが大事です。
他にも限定された顧客にだけ参加できるイベントを開いたり、裏メニューを教えたりと、特別感を感じれるものは山ほどあります。
これを徹底するか、しないかで、長期的な売り上げが大きく変わってきます。なぜなら2割の顧客が8割の売り上げを作っているから。
まとめ
- 消費者はネットから情報を得てる。
- お店の情報はネットの至る所に張り巡らせる。
- お店の情報は統一させる(営業時間など)
- 影響力のある人の協力を得る。
- 評価・レビューは悪い評価ばかりにならないようにする。
- 他店と違うところをアピールする(差別化)
- 世間の流れと逆方向へ行く。
- 安売りせず「お店の価値」を目的に来てくれる顧客を増やす。
- 評価・レビューの悪い評価を参考に顧客満足度を上げる。
- 常に新しいことをしてリピート率を上げる。
- 顧客に特別感を与え満足度を維持させる。
世の中では様々な戦略が飛び交い勝ち抜いた者は行き残り、負けた者は倒れるという戦国時代のようなものです。
美味しい料理を提供したらそれだけで繁盛するとは限りません。お店を繁盛させ続けるには、戦術に対抗する戦術を考え群雄割拠を生き抜いていく知能を身につけることです。
っと難しそうに聞こえますが、根本は「消費者の満足」です。消費者の気持ちになって自分ならどうだろう?と見る視点を変えるだけでやらなければいけないことは自ずと見てきます。どんどん新しいことにチャレンジしていきましょう。